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イーストフードとは【イースト(パン酵母)との違い、安全性、パン工業会等の見解】

 

市販のパンの原材料欄に表示されている「イーストフード」ですが、イースト(パン酵母)と同じなのか、違うのか、疑問に思ったことありませんか?

また、「イーストフード不使用」という表記をたまに見かけることから、「イーストフード」って体に良くないの?とつい思ってしまいます。

この記事では次のような疑問にお答えし、イーストフードとは何か、なぜ添加するのか、その安全性や考え方について、パン工業会はじめ関連団体・メーカーの見解をお伝えします。

この記事で解決する疑問:

  1. イーストフードとイースト(パン酵母・ドライイースト)との違いは何?
  2. イーストフードって安全なの?
  3. なぜイーストフードは使われているの?
  4. 「イーストフード不使用」のパンを買えばだいじょうぶなの?



さきに、本記事の結論をかんたんにお伝えします:


結論:

  1. イーストフードはパン酵母の発酵を補助する添加物の混合物であり、とくに工場で大量のパンを機械で作る場合には有益である。

  2. 日本で使用されているイーストフード(16品目※)はすべてが厚生労働省に認可され、使用基準が定められている。(臭素酸カリウムについては、使用の自粛が要請されている。)

  3. 「イーストフード不使用」の表記があるパンでも、イーストフードの代替品が添加されていることが多く、それらは原材料表示を免除されている(商品パッケージに記載がない)。ただ単にイーストフードが入っていないパンを食べればよいということでもない。


※参考:日本パン技術研究所 イーストフードについて
☞参考文献やHP一覧は、本記事のさいごにまとめてあります。
☞本記事で記載されている、イーストとはパン酵母のことを指します。

それではさっそく詳しく見ていきましょう:

 

 

1.イーストフードとは



イーストフードとは、イースト(パン酵母)の食物であり、パン酵母の発酵をたすける添加物の混合物です

  • おもに、パン酵母に必要な栄養素である窒素(ちっそ)、リン、カリウムのうち、パン生地にあまり含まれていない窒素を補います。

  • イーストフードはその名の通り、イースト(パン酵母)のフード(食べ物)なのです。


イーストフードが添加されることで、パン生地の発酵が安定し、品質が保たれやすくなります。

■ 「イーストフード」は16品目ある

一般社団法人日本パン技術研究所によると「イーストフード」という一括名※の表示が認められている食品添加物は16品目あります。

※一括名とは、おなじ使用目的で添加される成分を、ひとくくりでわかりやすくした名称のことです。

「イーストフード」として表示される添加物は以下のとおりです:

塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム(無水)、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ニアンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸―水素力ルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、焼成カルシウム

☞参考ホームページ:

  1. 日本パン技術研究所: イーストフードについて
  2. 日本食品添加物協会: 食品添加物の表示について

 

 


1-1.イースト(パン酵母)との違い



イースト(パン酵母)とは、パンの発酵に向いている、自然界に生きている微生物(酵母)のことを指します。



パン酵母は、ほかの生き物とおなじように、生命を維持するためには糖分をはじめ窒素(ちっそ)、リン、カリウムなどの栄養素が必要です。

そして、栄養素の量でパン酵母の発酵に影響がでます。そのため、イーストのたべものであるイーストフードを添加することで、発酵をサポートできるのです。

 

☞あわせて読みたい:
イースト(パン酵母)についての補足説明はこちらから:イースト(パン酵母)とは①「天然酵母」と何が違うのか?【解説】

 


1-2.イーストフードのはたらき



イーストフードの効果は、大きく3つあります:

  1. イーストの栄養補給源
    上記でご説明のとおり、生地中にあまりふくまれていない窒素(ちっそ)をおもに補います。

  2. 仕込み水の硬度の調整
    製パンにむいているのは硬水ですが、日本の水道数は軟水のため、硬度をもたせるために、カルシウム(Ca)塩、マグネシウム(Mg)塩を含む成分が利用されることがあります

    一般的に、軟水でパンを仕込むと、生地がゆるんでべたつきやすく、イーストが発酵で作ったガスを生地に保持する力が硬水に比べて低くなります。

  3. 生地のpHの調節
    パン作りにむいているpH5.0~5.8に調整するため、炭酸カルシウムや、酸性リン酸カルシウムが利用されることがあります。

    pHを酸性よりにすることで、パン酵母の活性化、パンの骨格となるグルテンのつながり強化・伸展性(のび)をよくする、雑菌の繁殖の防止、パンの風味など、さまざまな面でパンの品質安定につながる。


■ イーストフードとパンの大量生産

イーストフードは、生地の安定・品質・作業性をアップさせる成分だということがわかりました。

おうちや小さいパン屋で作るさいには、添加しなくても十分おいしいパンが焼けます。

しかし、工場などで大量のパンを機械で仕込むとどうしても生地に負担がかかります。また、大きい工場では工程の微調整がむずかしいので、イーストフードで生地や発酵を安定させているのです。

 

■ 豆知識:

ちなみに、製パン用の品質改良剤製剤がはじめて使用されはじめたのは、1920年ごろのアメリカだそうです (製品:フライシュマン(Fleischmann)の「アーカディー」Arkady)。

アーカディーはカルシムを主体とした品質改良剤製剤です。水を硬水よりにすることでパンの品質を改善するために作られました。

発端は、あるアメリカの大手製パン会社の工場で、おなじ材料、配合、工程にも関わらず、製パン工場によって品質が異なっていたことです。原因を検討したところ、硬水を使用した工場のパンのほうが軟水使用の工場のパンよりも品質がよかったことがわかりました。そのため、カルシウムを主体とした品質改良剤製剤アーカディーが作られました。

日本では、1935年ごろに輸入アーカディーがはじめて使用されました。日本ではじめて作られたのは1939~40年ごろだそうです。

 

2.イーストフードは安全?



イーストフードは、食品添加物です。パン以外にもさまざまな食品に添加されています。そしてその安全性については、世界的な機関によって確認され、食品衛生法で使用基準が定められます。

また、使用基準もかなり少量に制限されているので、安全性が担保されていると言えます。ただ一方で、ひとが生まれてからずっと摂取し続けたらどうなるのかなどは不明です。現状では、100%安全とも、100%危険とも断言できないです。では、添加物の安全性がどのように決定されているのか見てみましょう:

2-1.イーストフードの安全性や使用量はどう決まる?




■ 「安全性」がどのように評価されているか

イーストフードを含む食品添加物の安全性について評価をしているのは、WHO(世界保健機関)とFAO(国際連合食糧農業機関)が共同運営するJECFA(合同食品添加物専門家会議)という組織です。

まずJECFAで専門家による試験などで「無害な量」(無毒性量)が決定します。



■ 「使用基準」がどのように決定されているか

JECFAで決定した「無害な量」のさらに1/100の濃度を「1日許容摂取量」、つまり、ひとが毎日一生涯、取り続けても健康上なんら問題が生じない量とします。

その「1日許容摂取量」のさらに濃度をうすめた量が、食品添加物の使用基準として、食品衛生法に定められます。

なので、単純に考えると、添加物の「副作用」などがあるとした場合、パンを毎日何百、何千ことたべないとその作用はでないということになります。


☞あわせて読みたい、参考ホームページ:

  1. FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)について:日本食品化学研究振興財団HP
  2. 厚生労働省:食品添加物についての資料

 



2-2.使用が自粛されている、臭素酸カリウム



イーストフードの16品目にはふくまれていませんが、パンの品質改良剤製剤の成分である「臭素酸カリウム」という添加物は、パン業界においてその使用を自粛するよう厚生省より要請が出されています。

■ タイムライン(※内閣府食品安全委員会HP参考)

  • 1953年:日本において小麦粉処理剤として、食品添加物に認定された。効果としては、生地を適度にひきしめ、窯伸びをたすけるなど。
  • 1977年:厚生省の研究報告のなかで、臭素酸 カリウムの一部変異原性(細胞が突然変異をおこすこと)が発表された。
  • 1980年:日本パン工業会で使用をなるべくしないという申し合わせを行い、大手製パンメーカーで使用自粛が行われた。
  • 1982年:厚生省は、臭素酸 カリウムの使用基準を改正(下記参照)
  • 1992年:添加物の安全性評価を行っているFAO(国連の食糧農業機関)/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によって、臭素酸カリウムは「遺伝毒性発がん性物質」であるとの結論がでた。
     また、臭素酸カリウムの小麦粉処理剤としての使用は適当ではないとの結論がでた(1995年にも同じ結論が出ている)。
    このことから、厚生省の要請によって日本パン工業会・日本パン共同組合連合会は使用を自粛している。
  • 現在:使用自粛をもとめながらも、製パンでの使用は、使用基準をみたせば許可されている。

 

■ 使用基準

厚生労働省の「第9版食品添加物公定書」によると、臭素酸カリウムの使用基準はつぎのとおりです:

  • パンのみに使用が認められている。
  • 小麦粉1kgにつき0.030g以下で使用すること。
  • 焼成後の製品にのこってはいけないこと。

 

 

■ 臭素酸カリウムは、パッケージ表示は免除されている

補足をすると、臭素酸カリウムの使用基準は、最終製品にのこっていないことなので、この成分は食品表示法(食品表示基準)に定められた「加工助剤※」に当り、表示は免除されます。※加工工程で使用されるが、除去されたり、中和されたり、ほとんどのこらないもの。

つまり、実際に成分が使用されていても、焼き上げたパンの中にはその成分が残っていないため、商品パッケージの原材料名欄には表示しなくてもよいということです。


製パン大手では、Pascoとフジパンは臭素酸カリウムを使用していないことを自社HPで記載しています。また、一部大手では安全性を検証したうえで使用をしています(ただし、原材料名欄には表示なし)



☞あわせて読みたい、参考ホームページ:
 内閣府食品安全委員会HP掲載:臭素酸カリウムについて(PDF)

 

 

2-3.イーストフードの「代替成分」は添加物表示されていない



ところで、「イーストフード」という一括名の表示が認められている食品添加物(16品目)以外にも、イーストフードと同一の成分、あるいは同一の機能をもったいくつかの成分がパン品質改良剤製剤で使用されています。

焼成後の製品中にのこっていないもの(加工助剤※)や、食品素材として使用する天然物の場合は、イーストフードのような効果を生地にもたらしていても、イーストフードの表示が不要となります。

※「加工助剤」:加工工程で使用されるが、除去されたり、中和されたり、ほとんどのこらないもの。パンの場合、焼成時になくなることが多い。

■ イーストフードの「代替成分」(代替技術):

  1. パン酵母の栄養源(窒素源)となる「代替成分」
    小麦蛋白、ペプチド及び蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)

  2. 水の硬度の調整
    天然物のドロマイト(炭酸カルシウムマグネシウム含有物)

  3. pHの調整
    乳清蛋白、乳清ペプチド、天然物のドロマイト

 

☞あわせて読みたい、参考ホームページ:

  1. 山崎製パンHP:添加物について
  2. 食品添加物協会:表示の免除される添加物について

 

3.「イーストフード不使用」の表示について



ここまでで、イーストフード(食品添加物)には、きびしい使用基準がもうけられており、イーストフード以外にも生地の品質改良剤製剤として使われている成分があることがわかりました。

数多くある製パン成分のなかで、イーストフードに注目があつまるひとつの理由は、「イーストフード・乳化剤不使用」の表示にあるといえます。

「不使用」をアピールした表示をみると、イーストフード(や乳化剤)はなんだかわるいものなのかと思ってしまうのが、わたしたちの心理です。(以前の投稿記事でふれた「天然酵母」表示とおなじですね)。



3-1.パン工業会の見解



下記は、一般社団法人パン工業会のHPから抜粋しました。イーストフードの安全性と有用有益性を認めたうえで、「イーストフード、乳化剤不使用」の表示は、消費者に誤解をあたえるとして、自粛をもとめています。大手製パンメーカーでも同様の内容を自社HPで記載しています。

イーストフード、乳化剤を使用することは、製パン業界にとって根幹をなす有用有益な技術であり、食品添加物としてのイーストフード、乳化剤の表示義務を回避した食パンや菓子パンのパッケージやホームページで、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示をすることは、お客様に以下のような誤認を与えるおそれのある表示であるとの判断に至りました。

1.イーストフードや乳化剤は、国がその安全性、有用性を評価し、食品衛生法で使用が認められているにもかかわらず、食品安全面、健康面で問題があるかのような誤認

2.当該強調表示をしている商品が、国が安全性、有用性を評価し認可しているイーストフードや乳化剤を使用した商品よりも優位性があるかのような誤認

3.当該強調表示をしている商品に、イーストフード又は乳化剤がその代替物を含めて一切使用されていない、もしくは含まれていないという誤認

今般、(一社)日本パン工業会では、自主基準をつくり、こうしたお客様に誤認を与えるおそれのある「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示を自粛することといたしました。なお、本自主基準については、今後、日本パン公正取引協議会の会員にも適用すべく速やかに手続きを進め、更に「包装食パンの表示に関する公正競争規約」にも反映すべく協議を継続してまいります。
 

 

4.まとめ

 

  1. イーストフードはパン酵母の栄養源であり、発酵をたすけてくれる添加物の混合物である。

  2. 日本で使用されているイーストフード(16品目※)はすべてが添加物の安全評価をしている世界組織JECFAによる確認を得たもので、かつ厚生労働省に認可されたものである。また、その使用基準は、ひとが一生涯たべ続けても健康上もんだいないとされる「1日許容摂取量」をさらに薄めた量である。安全性は担保されてると言える。

  3. イーストフードは、工場などで大量のパンを機械でつくるさいに、パンの品質を安定させる。パン工業会や大手製パンメーカーでもその安全性と有益性が検証・確認されている。

  4. パンの品質改良剤製剤として使用される、臭素酸カリウムについては、安全性に懸念がのこることから、使用の自粛がもとめられている。また、使用されていたとしても、食品表示は免除されている。

  5. 「イーストフード不使用」の表記があるパンでも、イーストフードと同一の成分、あるいは同一の機能をもった「代替品」が添加されていることが多く、また代替品については、食品表示をしなくてよいものもある。

  6. そもそもイーストフード以外にも添加物はたくさんあり、その安全性が疑われているものもあるので、ただ単にイーストフードが入っていないものを食べればよいという問題ではない。

 

5.最後に…



今回は、イーストフードとはなにか、安全なのか、イーストフード関連の食品表示についてパン工業会、製パンメーカー、厚生労働省など関連会社・団体のHPを参照しつつご説明しました。個人的には、信頼できる情報をつねに見て、自分のなかで、食べるもの・食べないものの基準を作るのが大事だと思います。

食品添加物にたいする許容度はひとそれぞれですが、神経質になりすぎてもパンどころか、市販の食べ物をなにも食べれなくなってしまいます。いま安全だと明記されている添加物も、3年後、5年後、20年後には「実は危険な成分だった」なんてことになる可能性だって十分あります。

添加物をさけることは、現代ではほぼ不可能ですし、食の安全性に関する、うそか本当か分からないネタはごろごろあります。すべてを鵜呑みにせず、あやしいネタがあったら、該当協会やメーカー、国のサイトを活用して最新の情報をみるのも大事ですね。

そのうえで、例えば、平日はコンビニでパンを買ってしまうけど、週末は地元の信頼できるパン屋でパンを買おうとか、自分のなかで基準を作ってうまく、おいしく食べ物と付き合っていきたいものです。それでは、今日もパン作り楽しんでください:)

☞あわせて読みたい:
イースト(パン酵母)についての補足説明はこちらから:イースト(パン酵母)とは①「天然酵母」と何が違うのか?【解説】

 

6.おすすめ参考本・ホームページ

 

■参考本・HP:

☞参考本:

製パン学校でも利用されている本
製パンの材料、製法から、歴史、パン販売で利用できる数学的な知識まで、網羅されている本です。イーストフードの個別成分の使用目的や効果の詳細が記載されています。

☞参考ホームページ:

  1. 日本パン技術研究所: イーストフードについて
  2. FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)について:日本食品化学研究振興財団HP
  3. 厚生労働省:食品添加物についての資料
  4. 内閣府食品安全委員会HP掲載:臭素酸カリウムについて(PDF)
  5. 山崎製パンHP:イーストフードの表示が不要な添加物について
  6. 食品添加物協会:表示の免除される添加物について
  7. パン工業会:「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示の自粛に関するお知らせ

 

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