加糖中種法【甘党向け、生地の甘さを楽しむパン作り】を写真付きでやさしく解説

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甘いパンと言えば、あんぱん、クリームパン、メロンパン等々いっぱいありますが、生地が甘くてふわふわなパンって以外と少なくないですか?

そこで、

本記事では、生地の甘さを楽しむパン作りに挑戦したい方向けに、ぜひ取り入れてほしい加糖中種法をご紹介します

甘パン好きはぜひ一読ください!

生地を甘くふわふわにしたい場合、生地に砂糖を多く入れることになります。

でも、

砂糖が多い生地は、べたべたして扱いづらく、ダレて失敗しやすいので、仕込むさいはやり方を少し変えたほうが、おいしく焼けます。その方法が、加糖中種法なのです。

本記事では、加糖中種法をご紹介しつつ、このようなお悩みを解消します。

  1. 生地がちゃんとあまいパンを焼きたい

  2. 菓子パン生地向けの製法について知りたい

  3. 加糖中種法で焼いたパンの仕上がりについて知りたい

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

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砂糖が多い生地を作るのが難しい理由

一般的に、砂糖が多い生地はダレやすく、べたつくので、

  • 作業性がわるい
  • 発酵に時間がかかる
  • ボリュームが小さくなりがち
  • 内相もあらくぼそぼそしがち

になります。加糖中種法の詳細に入る前に、まずは、このような減少が起きてしまう理由から順番に解説していきます。

■ はじめに:発酵に欠かせない糖分についてさらっと補足

まずは、発酵と何か?についてさらっとおさらいします。

ご存じの通り、発酵が進むとパン生地が膨らみます。そして、パンが発酵するために必須な成分は、糖分です。

パン酵母(イースト)は砂糖や小麦粉由来の糖分(でんぶん)をエサにして、発酵活動を行います。

具体的には、パン酵母内にある酵素が糖分を分解し、パン生地を膨らませる炭酸ガスやアルコールを生成します。

アルコールはパンの芳醇が香りの元となり、炭酸ガスは、小麦粉を捏ねることで生成されるグルテン(パンの骨格となる網目構造)の中に保持されることで、しっかり膨らんだボリュームのあるパンが焼きあがります。

砂糖の適正量は対粉7~8%

前述のような適正発酵を促すために、パン生地には砂糖を配合します。

そして、一般的に砂糖の添加量は、粉100%に対して、7~8%(多くても15%まで)が適正と言われています

しかし、この添加量は、生地に甘味を出すほどの量ではありません。

かと言って、単純に砂糖の添加量を、例えば20%以上に増やすと、糖分は逆の働きをします。イーストの発酵を阻害し、グルテンの結合も弱めてしまいます。結果、甘いけれどもぼそぼそしてペタッとしたパンになってしまいます。

では、なぜ砂糖の量が多すぎると、ペタッとしたボソボソしたパンになるのでしょうか?

それは浸透圧が生じるからです

砂糖過多になると浸透圧が生じ、イーストが弱る

イーストは、70%が水分でできている微生物で、細胞膜をもっています。そして、砂糖が生地内に多く添加されると、浸透圧が生じます。

浸透圧とは、2つの濃度が異なる液体が、半透膜(水は通すが、水に溶けている砂糖などの分子は通さない膜)を隔てて隣り合った時、濃度を一定に保とうする水分の圧力のことです。

水分は、濃度の薄い側から濃い側へ、半透膜を通過して移動します。

これは、きゅうりに塩を振ると水分が出てくるのと同じ原理です。

同じように、生イーストに塩をふると、このように徐々に水分が出てきます



そして、しばらくするとイーストはどろどろになって死滅します



砂糖を大量に添加した場合も、同じ結果になります。

生地内に、過剰な砂糖(や塩)が添加されていると、浸透圧が生じ、イースト内と外の液体の濃度を一定に保とうという圧力がかかります

結果、イーストの細胞膜の中から水が外へ出てしまい、イーストは弱るか死滅してしまうのです。

こうなると、発酵活動が阻害されて、ふっくらとしたパンに仕上がりません。また高い浸透圧は

グルテン結合も阻害してしまうため、内相の粗いパンに仕上がりやすくなります。

浸透圧についての詳細は、下記の記事でもまとめているので、興味のある方は参考にしてくださいね。

そこで、加糖中種法の出番!

浸透圧でイーストの働きを弱らせることなく、砂糖を多めに添加したい場合、イーストを砂糖に徐々にならせていけばいいのです。この製法を、加糖中種法といいます。

具体的には、 ストレート法 のように、1回ですべての材料を仕込むのではなく、砂糖を2段階に分けて生地に加え、砂糖の好ましくない影響を最小限にするのです。

加糖中種法とは

加糖中種法とは、生地の仕込みを、「中種の仕込み」と「本捏ね」の2段階で行う製法のことを言います

※対して、通常のように、パン生地の材料をすべて一括で仕込む製法は「ストレート法」といいます。

「中種」とは、使用する小麦粉の一部をあらかじめパン酵母と水で一緒に捏ねて、ある程度発酵させたものです。

通常の中種には砂糖は添加しませんが、砂糖を添加した中種を使う製法を「加糖中種法」といいます。菓子パン作りでよく活用される製法です。

中種が発酵した後、中種と残りの材料をすべて捏ねる「本捏ね」工程に進みます。

中種法と加糖中種法の違いと使い分け

前述のように、砂糖の添加量は多くても15%までが適正と言われ、それ以上の添加は発酵の阻害などにつながってしまいます。

そのため、砂糖の量が15%を超える配合の場合は、加糖中種、15%までであれば、通常の中種法を使うという目安で製法を選ぶと安全です。

なぜ加糖中種法がいいの?

理由は、イーストの対糖性(砂糖への耐性)を強くするからです。

前述の通り、たくさんの砂糖を生地に添加すると、イーストの働きを阻害し、パンの骨格となるグルテン結合も弱くなります。そのため、砂糖の影響を最小限に抑えるためには、イーストの砂糖に対する耐性を強くする必要があります

具体的な手順としてはイーストにまずは少量の砂糖を与え、発酵させ、砂糖に慣れてもらったところで、追い砂糖をするのです。こうすることで、大量の砂糖に対して過剰反応しなくなります。

①イーストに砂糖になれてもらう段階=加糖中種
②追い砂糖をする段階=本捏ね

人間も、苦手なものにちょっとずつチャレンジすることで、克服して強くなっていきますよね。イーストも一緒です。

加糖中種法の一般的な配合

下記が、加糖中種の一般的な配合です。

  • 小麦粉:全量の70%

  • イースト:全量

  • 砂糖:砂糖の全量の14-20%
       (全量の粉100に対して3-5%)

  • 水分:中種粉量の55-57%

これらの材料を、まとまるまでミキシングをして、2時間~発酵させます(2~3倍ほどのサイズに膨張すればOK)。

そのあとに、のこりの材料とあわせて、40分ほど発酵させた後に分割、成型と工程を進めていきます。

※写真付きの具体的なやり方は後述してるので、参考にしてくださいね。

食事ロールで製法を検証【ストレートvs加糖中種法】

加糖中種法の効果について検証するため、同じ材料・配合の高砂糖(対粉26%)のレシピを、ストレート法と加糖中種法で仕込んで、その仕上がりと工程上・作業性の違いをくらべてみました。

結論から先にお伝えすると、

  1. 今回は、パンのボリューム的には両製法とも目立った違いがでませんでしたがストレート法のほうが伸展性が少ないため、上にだけ窯伸びし、おしりがしまった仕上がりになりました(通常ストレート法のほうがボリュームが小さくなりがちで、加糖中種法のほうがボリュームがでる)。

  2. 作業性については、ストレート法のほうがミキシング時間と発酵時間がかかり、分割・成型時にややべたつく印象

  3. 内相のきめ細やかさは、加糖中種法のほうが細かく、くちどけもよい感じ。ストレート法のほうや穴あきもありややぼそぼそするが、歯切れはよいです。

材料と配合

【製作日の気象条件等】 1月 AM 🌡4℃ 💧26% ☼晴れ

材料ストレート法加糖中種法
(加糖中種)
加糖中種法
(本捏ね)
強力粉250g (100%)175g  (70%)75g  (30%)
IDY※4g  (1.6%)4g  (1.6%)
バター25g  (10%)25g  (10%)
砂糖65g  (26%)10g   (4%)55g  (22%)
156g  (62%)96g   (38%)60g  (24%)
2.5g  (1%)2.5g  (1%)
中種全量
総重量502.5g502.5g
※IDYはインスタントドライイーストのことです
※かっこ内の%は、ベーカーズパーセントです。0.1gは四捨五入

工程

今回は、製法の比較ということで手捏ねではなく、機械の力(ハンドミキサー)を借りて生地をつくりました。ちなみに、この配合だと砂糖が多くすごくだれやすい&べたつく生地になるので、手捏ねだとけっこう大変。

ストレート法

  1. バター以外の材料でまとまるまで捏ね、バターを投入。
    砂糖が多いので捏ね上げまで時間がかかる。

    ※ハンドミキサーを使用:1足で5分→バターを投入し5分→2足で40秒→最後は手でたたき捏ね10分~してまとめる



    1次発酵

    常温で60分→パンチ→50分~

    【発酵前】




    【60分後パンチ前】



    生地はだれがちなので、パンチで生地に力を加えます。

    【パンチ後】



    【1次発酵終了後】



    分割・丸め
  2. 生地を面台に出し、大きいガスを抜く。※ややべたつく
  3. 50gに分割し丸める。※グルテンがやや粗目なので、大きいガスが多め。しっかりガスを抜くこと
  4. ベンチタイムは15分程とる。



    成形
  5. 大きいガスをしっかり抜いて、丸める。おしりはしっかり閉じる。
  6. オーブンを、220℃に予熱する。

    最終発酵
  7. 110分~。※発酵が加糖中種法よりゆっくり
  8. 塗玉をする。

    焼成
  9. 220℃で10分、反転し、180℃で5分~

加糖中種法

 ■ 中種の仕込み

  1. 種は、粉類(粉、砂糖、イースト)とぬるま湯で生地がまとまるまで捏ね、まとまってきたらバターを投入↓

    ※ハンドミキサーを使用:1足で2分→バターを投入し2分→2足で30秒→最後は手でたたき捏ねしてまとめる



    発酵

    2時間~、2~3倍になるまで

    【発酵前】



    【発酵後】



    ※ 種の中をのぞくと、グルテンが生成されていることが確認できます↓



    ■ 本捏ね
  2. 粉類(粉、砂糖、塩)と水をあわせ、種をちぎりながら投入し、なめらかになるまで捏ねる。

    生地は、ストレート法に比べると、まとまりやすい。

    (ハンドミキサー:1足5分→2足40秒→手でたたき捏ね10分)





    1次発酵
  3. 常温で40分~。
    ※種がすでに2時間発酵しているため、短い

    【発酵前】



    【発酵後】



    分割・丸め
  4. 生地を面台に出し、大きいガスを抜く。
  5. 50gで分割する。※ストレート法に比べて生地にべたつきがなく分割丸めしやすい。
  6. ベンチタイムは15分程。



    成形
  7. 大きいガスは抜き、丸める。おしりはしっかり閉じる。



    最終発酵

    70分~
    ※オーブンを220℃に予熱する

    焼成
  8. 塗玉をし、220℃で10分、反転、180℃で5分~


焼き上がりの比較【ストレートvs加糖中種法】

ストレート法と加糖中種法で仕込んだ生地をくらべてみると、ストレート法のほうが上に伸びているけど、内相の粗さと火ぶくれが目立つという仕上がりになりました。

本章では、ボリューム、内相、火ぶくれについて両製法の違いを考えていきます。

加糖中種法ストレート法
ボリューム伸展性があり全体的に膨らんでいる 上に伸びていておしりがしまっている
内相全体的に決めが細かい。多少粗い箇所もあるが、大きな穴あきはない穴あきが目立つ
(10個中10個穴あき)
火ぶくれなし10個中3個

ボリューム

写真では、両者とも同じくらいのボリューム感ですが、生地の底をみると、ストレート法のほうがしまっていてコシがあり、上に伸びていることがわかります。

加糖中種法は、コシに加えて伸展性もあるため、全体的に窯伸びしています。

(今回ははっきりでませんでしたが、通常加糖中種法のほうがよりボリュームがでます。今後また改めてテストしてみたいと思います)

考察ボリュームの違いはなぜ生じるのか?

ストレート法で仕込んだ生地のほうが、分割時と成形時、伸展性(のび)よりも、ハリやコシがしっかりしていました。

焼き上がりもおしり(パン底)がしまっています(発酵不足の生地もおしりがきゅっとします)。砂糖過多による浸透圧の影響で、イーストの発酵力がにぶり、発酵時間をたくさんとっても十分に発酵ができなかったと考えられます。

一方、加糖中種法の場合、イーストにとって適正な砂糖添加量で加糖中種を先に作ります。

加糖中種は十分に発酵し、グルテンも生成されます。そのため、グルテンという”風船”の中に、イーストが生成した炭酸ガスが適切に取り込まれて保持されるので、生地が膨らみます。

そして、イーストが生成した炭酸ガスが、グルテン膜の中どんどん取り込まれていくと、グルテン膜が薄くひきのばされていきます。その結果、伸展性と弾力(コシ)のバランスのよい生地になり、窯伸びしやすくなります。

パンは、グルテン(風船)とイースト(風船を膨らませるガス)の両者がそろわないと膨らみません。

砂糖過多の生地をストレート法で作ると、急激な浸透圧の影響により、イーストの発酵とグルテン結合が阻害されるため、生地が膨らまず、窯伸びしずらくなります。    

内相(穴あき)

ごらんのように、ストレート法で仕込んだものは、大きな穴あきが全体的に多くなるという結果になりました。

【ストレート法は、大きい穴あきや火ぶくれが見られる】

【加糖中種法の生地は、きめが細かく、大きい穴あきはない】

考察なぜストレート法だと穴あきが発生しやすいのか

おそらく砂糖過多によって、グルテン結合が弱くなり、焼成時にガスが膨張したさい、弱い箇所のグルテン膜がやぶれて、大きな穴あきになったと考えられます。(※「破泡合一」と呼ぶそうです。とても参考になるコメント頂いたので、記事最後のコメント欄もあわせて参照ください)。

通常だと、ガスの膨張に合わせてグルテン膜が伸び、でんぷんが糊化することでパンになります。

しかし、ストレート法で仕込んど生地には伸展性(伸び)がなく、グルテン結合も弱いため、窯伸びに耐えられずグルテン膜に穴があきやすくなります

砂糖は、15%以上添加した場合、パンの骨格となるグルテン結合を阻害します。なぜなら砂糖は親和性が高いので、生地中の水分と結びついてしまうからです。

グルテンの生成は水分を必要としますが(たんぱく質+水分+力=グルテン)砂糖過多の場合、この形成が阻害され、グルテン結合が弱くなると考えられます。

■ グルテン結合が弱いとはどういうことか

グルテンは網目構造をしていて、網目の部分に発酵ガスが保持され、生地が膨らみます。

生地内に空気の部屋がたくさんあり、それぞれの部屋に炭酸ガスが保持されているイメージです。

グルテン結合が弱いとは、グルテンの網目構造のつながりが弱く、グルテン膜が裂けやすい状態になっているということです。

そのため、焼成時グルテンの網目構造内に蓄えられた空気が熱で膨張したとき、弱いグルテン膜が破れてしまいます。やぶれた網目は、隣の網目とつながり、大きい空気の部屋となります。この大きい空気の部屋が、穴あきです。

火ぶくれ

そこまで多くはなかったですが、ストレート法で仕込んだ10個のうち3個に大きめな火ぶくれがありました。

考察なぜストレート法だけ火ぶくれしたのか

これは、前述の穴あきの原理と同じで、グルテン結合の弱い部分が窯伸びのさいのガスの膨張に耐えられず(ガスの膨張にあわせてグルテンが伸びることができず)火ぶくれになったと考えられます。

また、成形時、ストレート法の生地のほうが、大きいガスが目立っていました(グルテンの網目が粗いため、ガスが生地内で不均等に保持されていたためだと考えられます)。

そのため、分割丸めや成形時に、大きなガスを抜ききることができなくて、そのまま火ぶくれ(や穴あき)になったと考えられます。

味(と余談)

ちなみに、味は両者とも甘味をがつんと感じます。

水で仕込んでいるので素朴だけどおいしい。砂糖が多いため、当日はとてもしっとり、翌日もまあまあおいしく食べられました(レンチンしたほうがおいしい)。

食感は、加糖中種法のほうが、グルテン膜がきめ細やかだったので、口どけがよかったです。

ストレート法の生地は、グルテン結合が弱いため、歯切れがよかったです。

食感をよりソフトにしたい場合は、やはり卵や牛乳を入れたほうがいいなと思いました。ちなみに、卵と牛乳を加えたあまふわレシピはこちらの記事でご紹介してるので、ぜひ見てみてくださいね。

余談ですが、ベーコンやブロッコリーが入ったクリームスープに浸して食べると、クリームスープのミルクとしょっぱさが甘いパンにしみしみになっておいしかったです。

コンソメスープではなく、クリームスープというのがポイントな気がします。ミルクと砂糖のコンビは安心感と安定感があります。あとスパムなどしょっぱい加工肉を挟むんで食べると、甘じょっぱくておいしかったです。

工程ごとの比較【ストレートvs加糖中種法】

ストレート法と加糖中種法で仕込んだ生地をくらべてみると、ストレート法のほうが、発酵力が弱く、ややべたつくという感じでした。

コシと弾力はストレート法の生地のほうが強く感じました。加糖中種法はコシに加え、伸展性(のび)もありました。

加糖中種法ストレート法
ミキシング生地がべたつくため、ミキシングに時間がかかる
1次発酵・種を先に発酵させているため、早い

・生地がダレにくい
・発酵力が弱い(ガスの生成が控えめで生地が2時間の発酵後でもあまり膨らんでいない)

・パンチを入れたことで、生地にはりとコシがでた(発酵ガスの生成が少なく、グルテンが引きのばされていないためか、伸びよりコシをより感じる生地だった)
分割丸め・成型・べたつきがなく作業しやすい

・伸びるしコシもある
・ややべたつきがあるが、作業性に影響するほどではない

・丸めや成形のさい、大きいガスを抜ききることができない(グルテン構造が粗いから?)
最終発酵・加糖中種法より時間がかかった

まとめ

  • 砂糖は適量でイーストの働き(発酵)を促しますが、15%以上いれると逆にイーストの発酵とグルテンの結合を阻害する。

  • 理由は、砂糖が多いと生地内に浸透圧が生じ、イーストが弱る・死滅してしまうから。高浸透圧はグルテン結合も阻害し、また砂糖は生地中の水分と結びつくので、水とたんぱく質で生成されるグルテンの生成を阻害してしまう。

  • 砂糖のネガティブな効果を避けるためには、イーストに砂糖への耐性を付与するため、あらかじめ砂糖を加えた加糖中種を仕込み、十分に発酵したうえで残りの材料と本捏ねするという2段階で生地をつくるとよい。(耐糖タイプのイースト(safの金など)を使うとなおよい)

  • 今回のストレート法と加糖中種法の比較では、ストレート法の生地のほうが弾力があり(伸びが少ない)上方向に窯伸びしたがきゅっとしまっていた。グルテン結合が弱いため、穴あきや火ぶくれが目立った。またミキシングと発酵時間が長く、発酵力もややよわい。

  • 一方、加糖中種法の生地は、伸展性もあるので、全体的に膨らんだ印象。内相は、穴あきはなく、きめ細かい。生地もべたつきがなく作業性も良い印象。くちどけがよい。

最後に…

本記事では、砂糖たっぷりの菓子生地に欠かせない、加糖中種法について解説・比較検討しみました。

いろいろごちゃごちゃ検討・考察しましたが、おいしくいただくのが一番なので、家で作って当日中に食べる分にはストレートでもよいのかなと思いました。

ただ、捏ねるのにかなり苦戦はすると思うので、作業性の面ではやはり加糖中種法のほうがいいかなと思います。老化も遅いですし、翌日もしっとりいただけます。

ちなみに、2つの製法の考察部分は図書なども参考にしていますが、諸説あるということで読んでいただけたらと思います。それでは、今日もパン作り楽しんでください:)

加糖中種法を活用したレシピはこちら:

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コメントお待ちしてます!

コメント一覧 (1件)

  • 中種法とストレート法による詳細なご説明、ありがとうございました。
    私共も食パン生地を使って両者の違いを受講する生徒に説明を講座の度に致しております。
    このサイトでご説明の様に、加える砂糖の量で通常の中種法とするか、果糖中種法にするか、については同じく15%という砂糖の量が分岐点になると考えております。私は中種法を砂糖を加えるものと加えないものでの対比を致しました。15%を超える生地配合の場合、加糖中種法の方がボリュームがあり、パンの膨らみが良いという結果でした。
    また、砂糖が多い配合で内相の気泡が粗くなる理由はこのサイトに記載されているようにグルテンネットワークが生地の膨張と共に一部弱い箇所が壊れてしまったと推察します。(私共は「破泡合一」と呼んでおります。

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