面白いパンを作りたくて海外レシピサイトや本を見たけど、英語が苦手でよくわからなかった、あるいは海外のレシピを試したいけど、レシピを理解して作れるか不安という方へ。
英語レシピは、文字中心のものがほとんどで、写真が少なく見にくいですが、パンに関しては、お決まりフレーズが多いので、それさえ覚えれば、簡単にレシピの内容と詳細が分かるようになります。レシピの見方と、便利フレーズや表現を、やさしくお伝えします。
わたしも、このブログで海外サイトのレシピをよく参考にして、パンを作っています。日本のレシピも海外のレシピも、両方見れると、比較できるし勉強になります。(その他備考:以前、外資系ホテルのベーカリーに5年間勤めていたことから、仕事で外国のレシピを訳したり、活用した経験がままあります。TOEICは920点。)
■ ポイント:
- 英語のレシピ特有の表現がわかるようになる。
→よく使われる略語や単位など。 - パン関連のお決まりフレーズがわかり、レシピが読めるようになる。
→パンの基本的な作り方は世界共通なので、大体どのレシピでも同じ工程で同じような表現が使われています。お決まりフレーズさえわかれば、手順の流れがわかり、そこから詳細を読み込んでいけます。 - 世界中のレシピを正しく理解し、作れれば、パン作りの幅も広がる。
→また、これをきっかけに、英語に興味を持っていただけたらうれしいです。
1.英語のレシピを分解してみる
海外のレシピは、大体このように、文字がたくさん書いてあり、ちゃんと読まないと作り方が分からないものがほとんどです。(ネットでも本でも、文字中心のものがほとんど)。
日本のレシピ本やレシピサイトのように、工程ごとに手順や材料が分かる写真が添えてあるものは、あまりありません。
ただ、海外のレシピは、大体、下記のようなフォーマットで分かりやすく
①作業時間
②焼き上がり個数
③材料
④作り方
の情報が記載されています。それぞれの項目について、順番にみていきましょう:
① Total time 作業時間
■Total timeとは、すべての作業時間のことです。
- Prep = 「準備」:Preparationの略。Preparationは準備という意味なので、Preparation timeは、計量などの準備にかかる時間のことです。
- mins = 「分」:minutesの略。ちなみに、hour(~時間)は、hr と略されることが多いです(例:2時間=2hrs)。
- Rising/ Proving= 「発酵」。レシピ上では、発酵にかかる時間を指します。
- Cook= 「料理をする・火を通す」。ここでは、焼成時間のことを指します。
② Makes 焼き上がり個数
■ レシピ記載の分量で焼けるパンの個数を表します。
- Makes = 「いくつ作れるか」。Servingsとも記載されることがあります。意味は同じで、焼き上がりの個数を指します。
- Loaves= パンのかたまりの単位。Loafの複数形(1斤なら、1 Loaf/ A loaf of breadと表現します)。ちなみに、Loafは、食パンであれば「斤」、型に入れないで焼くハード系の場合は、バゲットのようななまこ型のパンをLoafで数えます。
- ~Slices each= eachはそれぞれ、各、という意味。上記レシピの場合は、1斤それぞれ16スライスにカットできるという意味になります。
③ Ingredients 材料
■ 材料と分量が記載されています。
- Strong flour/ bread flour = 「強力粉・パン用粉」。
- ※All purpose flour= 「準強力粉」。海外のレシピではAll purpose flourと記載されているレシピが多いです。これは、たんぱく質量が9~11%程度のものが多く、お菓子作りにも、パン作りにも使える粉です。
日本で代用する場合は、準強力粉を利用するか、強力粉と薄力粉を半分ずつ混ぜて利用します。 - active dry yeast= ドライイースト。スーパー等で売られているインスタントドライイーストを利用すればOKです。海外のレシピでは、イーストは ” 1 package”と分量表記されていることが多いですが、これは、おおよそ7gです。
- tsp= 「小さじ」:Teaspoonの略。 (水で5 gですが、材料によって重さが異なるので、要注意です。)
- tbsp= 「大さじ」:Tablespoon の略。(水で15 g)
④ Method 作り方
文字がもっとも多くて、心がおれそうになる「Method:作り方」ですが、パンのレシピには、お決まりフレーズがたくさんあります。
お決まりフレーズを見つければ、この文章はどの工程のことを説明しているのかが、パッと分かるようになります。どの工程かが分かれば、材料をまぜる順番や、発酵時間、成型方法などの細かい情報をピックアップしやすくなるので、レシピの理解度がぐんとアップします。
下記、お決まりフレーズの部分は、太字で記載しています。青字は、パンの工程です。工程ごとでレシピを分解すると、流れがわかりやすくなります。
☞それぞれの工程の用語・フレーズをさらに詳しく知りたい方は、このまま2章へ進んでください。かみ砕いて解説しています。
ざっくり分かればよいという方は、下記の太字部分のフレーズを取りあえず覚えればOKです。
☞ついでに、パンの基本的な工程におさらいしたいという方は、こちらも参照ください:パンの作り方:計量から焼成まで【基本の工程をやさしく図解】
2.【さらに詳しく知りたい方へ】レシピ用語・よく出る英語フレーズをかみ砕いて解説
ここからは、パンのそれぞれの工程でよく出てくるお決まりフレーズや、知っておくと便利な用語などを、かみ砕いて解説していきます。
英語の勉強に役立つ内容もあるので、ぜひご活用ください。
① Mixing「材料を合わせる」
【材料を合わせる工程の、お決まりフレーズ】
- ①Bowl= 「(調理用の)ボール」。ちなみに、投げるボールは”ball”です。
- ①Mix= 「混ぜる・あわせる」。Mixがある文章は、生地を捏ねる前の段階:粉類(イースト・砂糖・塩など)をあわせたり、液分(卵・牛乳など)をあらかじめ混ぜておく場合に出てくる単語です。
- ②Make a well in the centre= 「(小麦粉の中心に、水を投入するための)土手を作る」。下写真のような工程です。もんじゃ焼きを作るときに、土手を作るイメージと一緒です。小麦粉の計量が終わり、「これから捏ねていくぞ」という段階でよく出てくるフレーズです。
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② Kneading「捏ねる」
【捏ねる工程の、お決まりフレーズ】
- Turn onto a floured surface= 「粉を振った面台に生地を出す」。
Turn onto= 「~に向ける」。この場合、ボールの中の生地を、面台に出すという意味。
Floured= 「粉を振った」。”Flour”は小麦粉のことです。”Flour”に”ed”が付くと、「粉を振った○○」になります。○○の部分には、作業台や調理用具などのワードが続きます。例: ”floured surface”= 「粉を振った面台」、”floured bowl” =「粉を振ったボール」。
Surface= 「表面」。パンレシピでは、作業台や面台のことを指します。Working surfaceとも言います。 - Knead= 「捏ねる」
- smooth and elastic= 「なめらかで、伸展性がある」状態。捏ね終わりの生地の状態のことを言っています。必ずといっていいほど、出てくるフレーズ。このフレーズの前後には、捏ね上げ目安についての情報が記載されているので、見逃さずに。
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③ Fermentation「1次発酵」
【1次発酵の、お決まりフレーズ】
- Place in= 「○○に入れる、置く、設置する」。パンレシピの場合は、この後にBowl(ボール)や tray(トレー)など、生地を発酵するための容器が続きます。下写真は、”Place (dough=生地) in a bowl”の状態です。
- Lightly greased/ oiled= 「軽く油を塗った○○」。海外のレシピは、ボール、トレー、型、鉄板などあらゆるものに、生地がくっつかないように、油を塗るのが好きです。
このフレーズは、焼き菓子やケーキ、お料理のレシピでもよく出てくるフレーズです。ちなみに、ここで使う油は、パンの場合、バターやオリーブオイルが多くなります。 - cover with~= 「○○をかけてカバーする・覆う」。生地は、発酵するさい、乾燥を防ぐため、必ずラップやふきん等でカバーします。
Cling film= 「ラップ」。
Damp towel/ cloth= 「濡れタオル・ふきんなど」。保湿もできる濡れタオルは、パンレシピによく登場します。 - Leave to Rise for ~= 「発酵を取る」。Riseは膨らむ・上がる等の意味がありますが、パン作りにおいては、発酵のことを指します。このフレーズの後に、発酵時間や発酵の目安について記載されています。
Leave to rise for 1 hour until doubled in size= このレシピの場合、発酵時間は1時間(1 hour)、目安は、大きさが倍になるまで(doubled in size)となります。大きさが3倍の時は”Tripled in size“になります。 - ※Prove/ Proof for ~/ Proofing= 「発酵」。Riseと同じ意味で使われるので、どちらかの用語が出てきたら、発酵時間や、発酵の目安についての情報があとに続くので、要チェックです。
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④ Punching, Shaping, Proofing「パンチ・分割・成型・最終発酵」
【パンチ・分割・成型・最終発酵の、お決まりフレーズ】
- Turn the dough down onto a lightly floured surface= 「軽く粉をふった面台に、生地を出す」。これは、工程③の、Turn onto a floured surfaceと同じ意味です。
ただ、”floured”の前に、”lightly“とあるので、「軽く粉をふった」になります。 - Punch down the dough= 「生地をパンチする」。いわゆる、1次発酵後のガス抜きの工程です。”knock down the dough“とも表現されます。このフレーズを見たら、1次発酵後だなぁとすぐわかります。
- Divide= 「分ける・分割する」。分割工程です。”split“と記載されることもあります。
この後に、分割量「~g」や個数、あるいは上記レシピのようにざっくり、”half”(半分)や、”divide the dough into thirds/ quarters “(3分割・4分割)などと記載されます。 - Shape each into~= 「○○の形にする」。成型工程です。~のところに、成型する形や、成型方法が続きます。
例:”shape each into a loaf” =「なまこ型に成型」(下写真)、”shape each into a ball”=「丸める」 - Prove for~= 「○○まで発酵させる」。1次発酵のフレーズと基本的に同じ表現です。
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⑤ Baking 「焼成」
【焼成の、お決まりフレーズ】
- Preheat oven to~= 「オーブンを○○度に予熱する」。あらゆるレシピに出てくるお決まりフレーズです。
海外では、℃(degree Celsius)ではなく、°F(Fahrenheit、ファーレンハイト度)で温度を表すことが多いです。
425Fは大体 220℃、 400Fは大体 200℃です。パンに関しては、大体この2つの温度が登場します。 - Sprinkle ~= 「○○を振りかける」。小麦粉 “flour”、塩 “salt”や、粉糖 “powder sugar”が後に続くことが多いです。
- Bake for ~ mins= 「○○分焼く」。焼成時間を指します。
- until golden brown= 「こんがり焼き色がつくまで」。パンに限らず、焼く系の料理には出てくる定番フレーズです。
この後に、その他の焼き上がり目安が書かれていることがあるので、要チェックです。このレシピの場合は下記です: - loaf sounds hollow when tapped underneath= 「パンの底をたたいた時、軽い音がするまで」。
“sounds~“は、この場合「○○のような音がする」という意味。どのような音がするのかというと、”hollow”な音です。「空洞」という意味ですが、この場合、「軽い音」という意味になります。イメージとしては、からっぽの箱(空洞)と、ものが詰まった箱をたたいたとき、音が違う感覚です。
塊で焼く大きいパンは、中まで火が通ると、水分が蒸発などして、たたくと軽い音がします。にぶい音だとさらに焼きこみが必要です。
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3.最後に…
パンのレシピに特化した、用語やフレーズを紹介してきましたが、いかがでしたか?? 少しでも参考になったのなら、うれしいです。
最近は、youtubeで手順が確認できるサイトも多いので、わざわざ「レシピを読む」必要性も減ってきているのかもしれません。ネットや動画も便利ですが、おいしそうな写真がたくさん載ったレシピ本をわざわざ買って、じっくり読んで作るのも個人的には好きです。そういうのも素敵だと思います。
それでは、今日もパン作りを楽しんでください:)
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