ドイツパンって何パン?【ライ麦パンだけじゃない!嗜好別おすすめドイツパンをご紹介】

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ドイツのパンといったら、まずライ麦のパンを思いうかべるひとが多いと思います。でも、ドイツは世界で一番パンの種類が多いと言われている国で、地方の派生的なパンを含めると3,000種類あるとか!

なので、どんな嗜好の持ち主でもきっとお気に入りのドイツパンが見つかるはず!本記事では、ドイツのパンの種類はもちろん、嗜好タイプ別おすすめドイツパン&おいしいお店をご紹介します。ぜひ、ぴったんこなドイツパンを見つけていただけたらうれしいです:)

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目次

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1. ドイツは、パンの国 

 

ドイツでは、登録・申請されているパンは、基本的なパンで約300種類、小物や菓子パンなどは約1200種類、そして各地域のパンや派生的なパンを含めるとその種類は3000にもなるとか!世界1パンの種類が多いと言われています。

■なぜそんなに種類が多いの?

ドイツでは、穀物の種類が豊富で、それらを色々組み合わせることで、異なる食感や風味のパンがどんどん派生したと言われています。ドイツでは穀物といえばWeizen(小麦)、Roggen(ライ麦)、Hafer(カラス麦)、Gerste(大麦)、Mais(とうもろこし)、Reis(米)、Hirse(キビ)の7つのことを指します。中でも、小麦とライ麦は、これらの穀物のうち唯一配合量100%でもパンが作れるため、Brotgetreide(パン用穀物)と呼ばれています。

2. なぜライ麦パンのイメージが強い?

 


他のヨーロッパの国々では小麦ベースのパンが多いですが、ドイツでは気候事情から、ほとんどの地域で小麦の栽培が難しく、寒いところで育つライ麦を使ったパンが主流となりました。

とは言いつつ、ライ麦100%だと発酵力の問題から、小麦も少量まぜることが多く、ドイツではライ麦パンを、小麦とライ麦の配合比率でカテゴライズしています(4-4章「ライ麦の配合比率別の分類」参照)。ライ麦を使ったパンが主流のため、ライ麦イメージが強いですが、パンの国なので、あらゆるパンがあります。甘いのもしょっぱいのも、サクッとも、もちっとも、くせが強めなのも。では、さっそく自分の好みにあったドイツパンを見つけつつ、色々なドイツパンを見ていきましょう↓

3. 嗜好別おすすめのドイツパン

 

下のフローチャートにYES/NOで答えていくと、7つある嗜好タイプの中から、あなたにぴったりのドイツパンを(私の主観ベースになりますが)ご紹介します。これをきっかけにぜひ、色々なパンを食べ楽しいんでいただけたらうれしいです。

■タイプ別おすすめパン一覧(クリックすればパンの特徴や食べ方を確認できます):

  1. リッチ系」のあなたには、ドライフルーツやナッツをふんだんに使ったイベントで食べるパンがおすすめ:
    シュトレン(Stollen)
    クグロフ(Gugelhupf)

  2. アレンジ系」のあなたには、フィリングを楽しんだり、ひと手間加えたパンデザートがおすすめ:
    シュネッケン(Schnecken)
    プンパニッケルのデザートパンApfelbettelmann

  3. 甘ふわ系」のあなたには、子供から大人まで日本人にもなじみがある、菓子生地パンを使ったパンがおすすめ:
    ツォップフ(Zopf)
    ブッタークーヘン(Butterkuchen)
    ベルリーナ(Berliner)

  4. おつまみ系」のあなたには、お酒にあう塩気のあるパンや、噛めば噛むほど味が出るパンがぴったり:
    ラウゲンプレッツェル・クロワッサン(Laugenbrezel)
    プンパニッケル(Pumpernickel)

  5. ライ麦系」のあなたには、ライ麦配合量が高めの酸味を感じるちょっと大人なパンがおすすめです。低GIで健康にもよいです:
    ロッゲンブロート(Roggenbrot)
    ミッシュブロート(Mischbrot)

  6. 穀物系」のあなたには、小麦やライ麦以外の穀物の風味を楽しめる香ばしいパンがおすすめです:
    メアコーンブロート(Mehrkornbrot)

  7. 定番食事系」のあなたには、クセがなく毎日食べられる定番食事パンがおすすめです:
    カイザーゼンメル(Kaisersemmel)
    ヴァイツェンブロート(Weizenbrot)
おすすめのドイツパンのお店:ドイツパンのリンデ@吉祥寺

 

4. ドイツの定番パンの分類 

 

本記事では、メジャーなドイツパンをざっくりご紹介しています。ドイツパンは大きさや、粉・穀物・副材料の配合量(%)によって、とっても細かくカテゴライズされています。詳しく知りたい方は随時貼りつけてある外部リンクを参照ください。本記事で参考にしたウェブは最後に一覧で記載しています。

4-1. パンの大きさによる分類

 

ドイツではパンを焼き上げ後の重さによって分類します。フランスのバゲットとかも重さで名称がありますよね。日本にはない分類法でおもしろいですよね。

分類は2つ、
ブロート(Brot)
 焼成後重量が250g以上の大型のパン
ブレートヒェン(Brötchen)
 250g以下の小物(chenは小さいという意味)



4-2. 食事系・穀物系

 

 

  1. カイザーゼンメル(Kaisersemmel)



    カイザーとは「皇帝」という意味で、成形も王冠状にします。成形手順としては生地を重ねたり、現代だとカイザースタンプを使って王冠状にします。とてもさっくりしていて、作り方の特徴としては、パン酵母やや多めで、2時間~の短時間で仕込みから焼きまで完結します。そのため、焼きたて命のパンです。

    バリエーションとしては、ケシのみや、ゴマなどがトッピングされたものが多いです。食べ方は、ハムやチーズなどをサンドして食べるのがシンプルだけどすごいおいしいです。朝ごはんにいただきたいパンです。



  2. ラウゲンプレッツェル(Laugenbrezel)



    日本でもかなり馴染みのある、プレッツェル!あの独特な風味は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を水に溶かしたアルカリ溶液(=ラウゲン液、濃度は3%前後)を生地に浸してから焼くことで仕上がります。ラウゲン液により生地表面が茶色になり、あのなんともいえないプレッツェル風味になります。

    定番のプレッツェル以外にも、ラウゲン液を浸したラウゲンクロワッサンもおいしいです。ラウゲン系のパンは塩気もあり、噛めば噛むほど風味がたつのでお酒、特にビールとぴったんこです。

    ※ちなみに、ラウゲン液を作るさいに使用する水酸化ナトリウムは劇薬なので、お店で作るときは必ず手袋とゴーグルを着用して作ってました。液が体に触れると皮膚が溶ける?のと目も傷つくので、基本的には一人が完全防備で浸す作業をしていました。
     
  3. メアコーンブロート(Mehrkornbrot)



    たくさんの穀物(小麦、ライ、オートミール、亜麻仁、大豆、ゴマ、カボチャの種、ヒマワリの種など)を使用した食事パンです。噛めば噛むほど、香ばしい風味を感じられます。個人的にはバターを塗りだくっていただくのが好きです。

  4. プンパニッケル(Pumpernickel)



    プンパニッケルは、全粒粉で作るレンガ型の黒いパンです。発祥は、ドイツのヴェストファーレン地方の伝統的なパンです。作り方は、型に生地を入れ蒸しあげていくので、とてもずっしりしてて、甘味と酸味がある独特な風味があります。捨て窯といい、パン屋の一日の業務が終了してオーブンをきったあとの、熱がまだ残っている窯につっこんで、朝まで長時間低温でじっくり焼き上げていくパンです。伝統的な作り方だと最低でも16時間かけてじっくり焼かれます(短くて4時間、長くて20時間)。

    食べるタイミングは翌日以降がおすすめ。ライ麦系のパンすべてに言えますが、1日おいたほうが、酸味が落ち着き、味もなじんで食べやすくなります。風味もより感じられます。

    食べ方としては、薄くスライスしてクリームチーズやカマンベールチーズと合わせるとおいしいです。ちょっと癖があるおつまみとしてもワイン好きにはグッドです。

    【番外編:プンパニッケルを使ったデザートパン】
    Chocolate Pumpernickel Pudding,引用元:germanfoods.org
    デザートとしてもアレンジ可能で、プンパニッケルを砕いてパン粉状にしたものとりんごのスライス、砂糖、ドライフルーツ(カラントやレーズン)、ナッツ、スパイス等で焼いて作るホットスイーツ、apple pumpernickel Betty (Apfelbettelmann レシピはこちらから)や、同じく プンパのパン粉と砕いたチョコなどを合わせて作るchocolate pumpernickel pudding(レシピはこちらから)など、いろいろな食べ方が楽しめます。

 

 

4-3. デニッシュ系・甘系

 

 

  1. ファインゲベック(Feingebäck)
    油脂や砂糖を多く含んだ菓子生地のことを指します。成形の仕方や材料の配合で種類も豊富です。ファイネ・バックヴァーレン(Feine Backwaren)やファインバックヴァーレン(Feinbackwaren)とも呼ばれます。(細かい定義はこちらから

  2. ブッタークーヘン(Butterkuchen)

    バターのお菓子という意味。バターや卵を使ったリッチな菓子生地。フォカッチャのように大きくのして、バター(Butter:ブッター)と砂糖(Zucker:ツッカー)、アーモンド(Mandel:マンデル)をトッピングして焼いた菓子パンです。スライスて提供されます。こちらのパンも油脂はバターのみ等条件があります。味的には日本人になじみのある、ふわふわで甘いバターパンという感じです。ブリオッシュ系にちょっと近いかも。おやつで食べたくなるおいしい味わいです。

  3. ツォップフ(Zopf)

    ツォップフとは三つ編みという意味です。菓子生地を編み込んで成形し、焼成前にアーモンドやシュトロイゼル、あられ糖などをのせて焼きます。素朴なあじわい。牛乳と一緒にたべるとおいしい、ほっとするおやつパンです。

  4. ベルリーナ(Berliner)

    ドイツ版の揚げパン・ドーナツ。中にはジャムやチョコレートなどのフィリングを詰め、外側には粉砂糖をまぶしたり、アイシングをします。あまーいパンです。個人的には疲れたとき、ブラックコーヒーと食べたくなるパンです。

  5. シュネッケン(Schnecken)

    【ヌスシュネッケン画像引用元:パンの図鑑

    デニッシュ生地にフィリングを塗って、カタツムリのように巻き込んだ渦巻模様が特徴です。馴染みがあるパンでいうと、パンオレザンと同じ形です。おすすめは、ナッツフィリングを巻き込んだヌスシュネッケン。ナッツの香ばしいのと、デニッシュのサクッと、アイシングの甘味がおいしいです。

    中に巻き込むフィリングによって名称が変わります:
    ●ロジーネンシュネッケ(Rosinenschnecke)→砂糖とレーズン
    ヌスシュネッケ(Nussschnecke)→ナッツのフィリング
    ●モーンシュネッケ(Mohnschnecke)→黒ケシのフィリング

  6. シュトレン(Stollen)


     
    ドレスデンが発祥といわれるドイツのクリスマス菓子です。ラム酒等に付け込んだドライフルーツ(レーズン、レモンピール、オレンジピール等)、ナッツ、バターをふんだんに混ぜ込んだ生地に、マジパンを包んで焼きます。焼きあがったら、熱いうちに澄ましバターにつっこみ、粉糖をまぶします。一晩休ませ、再度仕上げの粉糖をまぶして完成!手間もかかるけど、とっても美味!1cmほどに薄くスライスしてコーヒーや紅茶と食べてくださいね:)

    大きく販売されているけど、冷凍もOKなので、スライスしてから冷凍し、ちょびちょび食べてもグッド。

    シュトレンはマジパンを包んで成形しますが、これは一説によると、マジパンがJesusで、彼を布でくるんだ様子らしいです。クリスマスのお菓子だから宗教的な意味合いが現地ではあります。

    ドイツにはシュトレンの種類も豊富で、写真右のような黒ケシフィリングを巻き込んだモーンシュトレンや、ヘーゼルナッツフィリングを巻き込んだヌスシュトレン等があります。個人的にはモーンシュトレンがおすすめ!カルディや成城石井系のスーパーにも売っていた気がします。。。

    【生地に大量のドライフルートやナッツを練りこんで作ります】

    【焼き上がり。この写真は型で焼いたシュトレン】


    ちなみにシュトレンは、11月下旬から店頭で見られるようになり、1ヶ月ほどの間売り続けられます。日本でいうおせちのように、砂糖やバターなど食品の保存性を高める材料をふんだんに使っているため、1か月は持ちます。日本でも最近では、クリスマスケーキと並び、デパ地下で広く販売されるようになってから、認知度急上昇中の注目のパンですよね。日本ではケーキのように、色々なアレンジシュトレンが多いので、色々楽しんでみたいですね。数年前からは、冷やして食べる夏のシュトレンとか変わり種もあるので、おもしろいです。

  7. クグロフ(Gugelhupf)

    アルザス地方発祥と言われており、ドイツ、フランス、オーストリアなど広い地域で食べられています。リキュール付けしたレーズンを、バターや卵たっぶりの生地にまぜ、特殊なクグロフ型を使って焼く菓子パンです(たまにパン屋さんで陶器のかわいいクグロフ型がかざってあるので見てみてね)。焼き上がりにはシロップを塗り、乾いたら粉糖をまぶして完成。シロップを含ませるので、しっとりします。

    クリスマス、お祭りやパーティーの時などにみんなで食べられます。特別の日にはもちろん、おやつにも食べますが、現地では朝食に食べるパンでもあるそうです。

4-4. ライ麦の配合比率別の分類

 

ドイツでは、ライ麦と小麦配合量の割合でパンの名称が変わります。ドイツのパンの名前は長いものが多く複雑そうですが、単語の組み合わせです。覚えておくと便利な単語は5個:

①Roggen ロッゲン(ライ麦)
②Weizen ヴァイツェン(小麦)
③Brot ブロート(大型パン)
④Broetchen ブレートヒェン(小型パン)
⑤Mischen ミッシュ(ミックス:ライ麦と小麦50:50のパン)



これを踏まえて、パンのライ麦:小麦配合比でざっくり5つのカテゴリに分類できます:

名称 ライ麦・小麦粉比
Roggenbrot
ロッゲンブロート
ライ麦の酸味を一番感じるパン。薄くスライスしてハムやチーズと一緒にどうぞ。はちみつとバターも◎です ライ麦比率90%以上
Roggenmischbrot
ロッゲンミッシュブロート
  ライ麦比率50%~89%
Mischbrot
ミッシュブロート
小麦とライ麦1:1なので、ライ麦苦手な方でもチャレンジしやすいです。スライスしてハムやチーズ、ソーセージと一緒にどうぞ ライ麦比率50%
Weizenmischbrot
ヴァイツェンミッシュブロート
  小麦比率50~89%
Weizenbrot
ヴァイツェンブロート
小麦粉量がほぼなので一番食べやすいです。ライ麦パンビギナーはここからはじめてちょっとずつライ麦量を増やしたらよいと思います 小麦比率が最低でも90%

さらに細かい分類や配合条件はこちらから

ライ麦粉量が多いロッゲンブロートの1種ベルリーナラントブロート

小麦粉量がもっとも多い、Weizenbrotヴァイツェンブロート



4-5. 補足:ライ麦パンに欠かせないサワー種とは?

 

サワー(Sauer)とは、酸っぱいという意味です。サワー種はライ麦粉と水から作る発酵種です。ライ麦パンを作るときの風味のもととなります。小麦粉で起こす種と違い、ライ麦の種には、乳酸菌・酢酸菌が含まれ、これらの菌がライ麦独特の酸味を生成します。

乳酸菌が多いほうが香りが目立ち、酢酸菌が多いほどツンとした酸味が強くなると言われています。このバランスでパンの風味がかわります。なので同じパンでも、お店ごとに味が違ってくるのです。

また、サワー種を生地に投入することで、ねちゃっとべたつくライ麦生地を扱いやすくし、カビなどの繁殖を抑えて保存性を高める効果もあります。

5. おいしいドイツパンのお店

 

ドイツパンのリンデ@吉祥寺がおすすめです。
とにかくライ麦系のパンも、菓子系も、ラウゲン系も種類が豊富です。プライスカードにライ麦配合量も記載されているので、はじめてでも購入しやすいです。人形町にあったタンネも好きだったんですが、閉店してしまったようです。残念。

関連ランキング:パン | 吉祥寺駅井の頭公園駅

 

参考ウェブ&最後に… 

 

本記事では、たくさんあるドイツパンのうち定番のものを紹介しました!ライ麦系以外にもいろいろあってびっくり、という方も多いのではないでしょうか。ぜひ自分好みのFavourite breadを見つけてください。下記は今回参考にしたウェブ一覧です。本記事ではざっくり説明だったので、詳細が知りたいかたはぜひ一読ください。

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コメントお待ちしてます!

コメント一覧 (2件)

  • ドイツのパン、実は3,000種類もあるんですね。一般的にはライ麦と小麦粉のミッシュブロートや
    クリスマスで日本でもおなじみのシュトーレンなどが有名ですが、こうしてみると、ドイツも様々なパンがあることがわかり、すごく興味を持ちました。
    ドイツの料理のイメージは、豚肉、ジャガイモなので、ライブレッドに使用されるライサワーが
    肉料理にすごく合うんだと思います。もちろんビールにも合いますよね。
    日本ではそれほど売られていないプレッツェルもビールに合いますね。
    私は、「おつまみ系」と「リッチ系」にたどり着きました。

    • すごく種類が豊富ですよね。豚肉やじゃがいもと合うライ麦を使ったお食事系からおやつのパンまでバリエーションが豊です。
      ちなみに、わたしも「おつまみ系」です!

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