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パンの焼成とは?オーブンの中で起きてる変化をやさしく図解



みなさんご存じのように、パン生地をオーブンに入れると、まず最初にパンがいっきに膨らみ、だんだんいい香りがして、こんがり焼き色が付いてきます。この変化はなぜ起きるのか想像したことありますか?パン生地内で何がおこっているのでしょう?この仕組みを理解することで、ふっくら窯伸びして、きれいな黄金色のパンが焼けるようになるので、ぜひ参考にしてくださいね:)

本記事では、焼成中のパン生地について次の疑問を解説:

1.なぜパン生地は焼くと膨らむの?
2.なぜパンは膨らみ続けないの?
3.どうすればふっくら膨らんだパンが焼けるの?
4.途中まで膨らんでたのに、しぼんじゃった。なぜ?
5.なぜ焼くと茶色くなっていい香りがするの?

 

本記事ではそれぞれのポイントを、イラストでわかりやすく解説していきます。

焼成の段階や意味がわかると、パンの種類に合わせてふっくらおいしく焼けるようになります

 

それでは、さっそく見ていきましょう↓↓

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目次

 

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1. なぜパン生地は焼くと膨らむの? 

 

パン生地が膨らむのは、オーブンの熱で、パン生地中の炭酸ガスが膨張するからです。


パン生地内には、グルテンという網目構造をした「空気の部屋」あるいは「風船」がたくさんあります。このグルテンがパン生地の骨格を支えています。

そして、グルテンの中に、パン酵母(イースト)が発酵活動で生成した炭酸ガスが抱きかかえられていきます。発酵が進むにつれ、ガスがどんどん溜まっていき、風船のように生地が膨らむのです。

最終発酵を経て、生地内にガスがほどよく溜まった状態で 、パン生地をオーブンにいれるのですが、この時、生地内では、3段階で変化がおきています:

 

1-1. 焼成の3段階

 

下のイラストは、山食パンを横からみた図です。左が最終発酵後の生地(オーブンに入れる前)です。

焼くことで「生地」が「パン」へと変化することを焼成反応といいますが、これは主に3つのステップで進みます:

①窯伸び(生地がいっきに膨らむ)
②火通り(グルテンとでんぷんの変化)
③クラストの形成(こんがりし、いい香りがでる)
 
それぞれの段階でおこる、生地内の変化をみていきましょう↓
 
 

1-1-1. 窯伸び(生地がいっきに膨らむ)

 

【①発酵活動が活発になる】

オーブンに生地を入れた後、生地の温度はゆるやかに上昇します。その間、パン酵母は発酵活動をすすめ、生地温があがるにつれ、その活動はより活発になります。その結果、ガスが生成され、膨張します。

【②パン酵母由来のアルコールと炭酸ガスが熱膨張と気化】

仕込み~最終発酵で既にパン酵母が生成し、生地内に溜まっている、アルコールが蒸発・気化し、炭酸ガスが熱で膨張し、生地がいっきに膨らみます。これをオーブンスプリング・窯伸びといいます。生地の温度が60℃前後に達するまでの間に起こります。

特に、オーブンの下火が高いと、より膨らみやすいです。食パンもですが、ふっくら感が特徴のブリオッシュ・ア・テッドなどは、最初に高い下火で一気に焼きます。パンにもよりますが、生地がまだやわらかく伸びる、焼きはじめ(トータルの焼き時間の最初の25~30%。例えば食パンなら最初の8分前後)が勝負です。

【③酵素が活性化して、パン生地がしなやかに伸びやすくなる】

さらに60℃付近になるまで、酵素の働きが活性化されます。酵素(プロテアーゼ)は、グルテンをやわらかくし、酵素(アミラーゼ)はでんぷんを液化・糖化をします。この2つ酵素の効果で、生地がしなやかになり、窯伸びしやすい状態になります

 

1-1-2. 火通り(グルテンとでんぷんの変化)

 

生地温が60℃まで達すると、パン酵母が死滅し、一気に伸びた生地は固まりはじめ、パンへと変化します。


【でんぷんが糊化して、パンへ変化する】

まずでんぷんが、60~100℃の温度で糊化します(私たちが食べて消化されやすい「パン」の状態になること。でんぷんのアルファ化といいます。お米を炊くとやわらかく、消化しやすくなる原理と一緒です)。

【グルテンとでんぷんが、選手交代する】

それと同時に、生地温が70~75℃に達すると、今まで生地の骨格を支えていたグルテンは、凝固します。パン生地においては、生地のときは、グルテンが骨格を支えていました。でも、70℃付近で、グルテンに含まれていた水が放出・解放され、でんぷんに奪われます。でんぷんはグルテンの水を得ることで、さらに膨らみます。

そしてご存じの通り、たんぱく質は熱を加えると変化しますよね。グルテンもたんぱく質です。熱で水分が放出されることで立体構造がかわります。これを凝固といいます。

そして、グルテンが凝固し、でんぷんが糊化を進めることで、パンの骨格を支えるものが、グルテンからでんぷんへ選手交代します:

焼成前の生地→グルテン が生地の骨格を支える
焼成後のパン→でんぷん がパンの形を支える
 
 

1-1-3. クラストの形成(こんがりし、いい香りがでる)

 

さて、パンの形ができたら、どんどん色がつき、いい香りもしてきます。

パン生地が100℃に達すると、クラスト(パンのみみ)が形成されます。そしてさらに温度が上がると、オレンジ、茶色と色が付いてきて、さらに、あまい香りと、香ばしさが漂います。パンの色と香りは、主に2つの反応で付きます:

①150~160℃ メイラード反応
②190℃~ カラメル化反応
 


メイラード反応は、お肉が焼ける原理と一緒です。たんぱく質+熱+糖で、メラノイジンという褐色物質と、香り成分が生成されるのです。

カラメル化反応は、糖を熱することで、糖がカラメルという褐色の物質に変化することです。

上記のように、糖は、おいしい焼き色と香りにはかかせないものだと分かりますね。

☞あわせて読みたい
★焼成の意味については、こちらでも詳しく解説:
パンの作り方:計量から焼成まで【基本の工程をやさしく図解】☞「2-9.焼成」

★焼き色に欠かせない糖について:
砂糖とパン作り【砂糖の効果をやさしく解説します】

 

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2. パンはなぜ膨らみ続けないの?

 

生地の温度が60℃以上になると、生地内の構造変化がおき、生地がパンへと変わっていくからです。

60℃までの間は、生地内の酵素が生地をしなやかに、伸びやすい状態にしてくれます。そのため、生地内のガスが熱で膨張したとき、生地も一緒に膨らみます(→「1-1-1.窯伸び」を参照)。

しかし、前述の通り、生地の骨格を支えるグルテンは、生地の温度が70℃以上になると、凝固といい、構造変化を起こします。グルテン内にあった水が放出され、その水はでんぷんに吸収されます。(→「1-1-2.火通り」を参照)

でんぷんも熱が加えられることによって、状態がかわります。”生”の生地から、私たちが食べて消化できるパンの状態へ変化するのです。これを糊化というのですが、糊化は60~100℃の間で完結し、100℃を超えると、パンの耳ができ、形が固まります(→「1-1-3.クラストの形成」を参照)。生地がパンになったら、これ以上膨らむことができません。

 

3. ふっくら膨らんだパンを焼くには? 

 

パン生地が、オーブン内で膨らむのは、焼き時間全体の最初の25~30%です。そのあとは、生地の温度がどんどん上昇し、生地からパンへ変化するため、窯伸びしません。

最初のうちに、いっきに窯伸びさせるのは、主に5つポイントがあります:

  1. 蒸気を入れる・霧吹きをする

    生地の表面に薄い水の層ができるくらい水分をあたえるといいです。調整がむずかしいけど、多すぎても少なすぎてもダメです。適正量あたえることで、生地の表面がやわらかくなり、生地が上に膨らみやすくなります。

    また、この水が、オーブンの熱で気化するさい、まわりの熱をうばうので、生地の温度の上昇をおくらせます。温度上昇が遅くなるということは、その分窯伸びの時間が長くなります。
    ※塗玉をする場合は、蒸気は不要です

  2. オーブンは、しっかり予熱する

    窯入れまえ、オーブンの温度が意図した温度まで上がるよう、予熱をしっかりしてください。特に家で焼く場合は、オーブンにもよりますが、20分間、焼きたい温度よりも10~20℃高い温度で予熱するといいです。そのさい、天板も一緒に温めると下火が強くなり、窯入れ直後の膨張を加速できます。

  3. 温度は低すぎず、高すぎず。最初はなるべくレシピ通りの温度で焼き、あとは調整する

    温度を低めで焼くと、窯伸びの時間が長くなるので、伸びます。でも、低温でじっくり焼いたパンは、クラストが厚く、パサパサしちゃいます。

    また、高温で焼いても、窯伸びする前にクラストができ、表面だけがこげ、生焼け(パンの中心は火が通っておらず、生地のまま)になってしまうことも。

  4. オーブンの扉を開けるのは最小限に

    1回扉を開けると、庫内温度が10℃以上さがってしまいます。温度が下がると、せっかく伸びていた生地がしぼんでしまいます。

    窯伸び途中の生地は、まだ骨格(形)が定まっていないので、刺激ですぐにしぼんでしまいます。なので、パンの焼き具合が気になる気持ちをグッとこらえて、待ちましょう。

  5. ショックをあたえる

    焼き上がったパンには必ずショックをあたえてください。そうすることで、焼き上がった後、パンが凹んだり、折れてしまうのを防げます。詳細は次章に続きます↓↓↓
 
 

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4. 膨らんでたのにしぼんちゃった、なぜ?

 

これは、前章のポイント④と5につながるのですが、パンがしぼんでしまう理由は主に2つあります。焼成中の刺激と、焼成後の対応に問題がある場合です:

4-1. 焼成中に生地に刺激を与えたから

 

パンのクラストが形成される前に(窯伸びの途中で)庫内温度が下がったり、パンに物理的な刺激が加わったらしぼんでしまいます。パンにまだ色が付いていない段階(クラストが形成されていない、もろい段階)で、パンの様子が気になってオーブンを開けてしまうと、冷たい空気でパンが収縮してしまうので、様子を見るのは1回と決めて焼きましょう。

またロールなど小物系は、焼きムラをおさえるために、天板を反転させることがあると思います。このときも、物理的に衝撃が加わるとしぼんでしまうので、やさしく・すばやく済ませるのがいいです。

 

4-2. 焼成後にショックを与えないと腰折れする

 

腰折れやケービングは、焼成後、パンが折れてしまう現象です。たまに食パンなどで見かける思います。



なぜ起こるのか?

オーブンから出した後の熱々のパンの中には、高温のガスや水蒸気が閉じ込められています。それが冷たい空気に触れることで、収縮してしまうからです。腰折れ以外にも、表面がしわしわになったりします。

これを防ぐには?


①ショックを与える

焼きたてのパンに衝撃(ショック)を与えればOKです。天板を上からトントンと叩いたり、型ものであれば型ごとトントンと、作業台の上に落として衝撃を与えます。

そうするこで、パン内部の気泡膜に亀裂がはいり、中の熱い空気と外の冷たい空気が一瞬でいれかわります。冷たい空気によりパンの骨格が瞬時に冷え固まり、形を維持することができるのです。

②型ものは型から外して、水蒸気をにがす

型ものは、必ず型からはずし、風通しのよいところで粗熱をとります。型にいれたままだと、型とパンの間に水蒸気でできて、パンが水っぽくなります。お店でも、焼きたてのパンは封を開けてくれますよね。それと同じイメージです。

 

5. まとめ  

 

    1. パンが膨らむのは、オーブンの熱で、発酵活動で生成された炭酸ガスが膨張し、生地が伸びるから。また酵素の作用で、生地がしなやかになり、伸びやすくなるから。

    2. 生地温度が60℃を超えると、でんぷんの糊化がはじまり、生地がパンになりはじめる。70℃からグルテン(たんぱく質)の凝固もはじまり、パンの骨格を支えるものが、グルテンからでんぷんへ変わっていく。そして100℃付近でクラストが形成される。その後温度が150℃を超えると、メイラード反応やカラメル反応が起こり、パンが色づき、香りが生成される。

    3. ふっくらボリュームのあるパンを焼くには、最初の窯伸びが勝負。適正量の蒸気を入れ、庫内温度をしっかり上げ、焼成中は庫内温度を維持すること。焼きあがったらショックを忘れずに。

    4. パン生地が窯伸びしているときは、まだもろい状態なので、オーブンを置けると冷たい空気でしぼんでしまう。また、物理的な衝撃もしぼみの原因に。焼き上がりはしっかり衝撃・ショックを与えることで、「腰おれ」を防げます。

    5. パンがこんがり焼け、いい香りがするのは、生地内で、熱と糖とたんぱく質が反応するから。お肉(メイラード反応)とキャラメル(カラメル化反応)が茶色くなるのと同じ原理。

 

最後に…  

 

本記事では、焼成中、パン生地の中でおこっている変化について解説しました。いま焼いているパンがどの状態なのか、なにがおこっているのかがわかると、普段のパン作りの役に立ちますよね。それでは今日も、パン作り楽しんでください:)

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コメントお待ちしてます!

コメント一覧 (2件)

  • パンの焼成のメカニズムを詳しく教えて頂き、ありがとうございます。
    メイラード反応で生成される物質名について、「メラノイジン」と記す方が分かりやすいかなと思いました。
    パンが膨らんで、やがて色がついてくる現象、型の中にパン生地が入った状態ですと見ていてもなかなかわからないのですが、イラストですと分かりやすいですね。

    • いつもコメントありがとうございます!
      また、ご指摘ありがとうございます。物質名について、修正いたしました。
      これからも分かりやすくパンのことを発信していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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